みやもと糀店インターンレポート
- kojikollective
- 2 日前
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更新日:1 日前
2026年3月、愛知県西尾市のみやもと糀店さんでのインターンの機会を頂いたのでそれに合わせて一時帰国してきました。そのレポートです。

目次
きっかけと出会い
私はイギリスで麹を作って販売したり麹を使った発酵を広める活動をしています。
正しい情報を発信するにあたりたくさん本を読んだり、インターネットで調べたり、発酵関連のコミュニティに所属したりしていますがずっと「現場を見たい」という思いがありました。(本業は電気製品を設計するエンジニアですが、量産にあたり工場を見るのは基本中の基本です)
でも麹の製造現場ってそう簡単に一般人が入れてもらえる場所じゃなさそう…と思いながらインスタで麹屋さんの写真を眺めていたらなんとインターンを受け入れているお店を発見!!残念ながらその年は募集が終わっていたのでそのお店をフォローし次の募集が始まった瞬間に応募のメッセージを送りました。(インターン採用公式instagram)
大変人気なようで選考があり、いくつかの質問に回答しました。共同生活になるのでご迷惑をお掛けしなければならないところ(私は乳製品を食べると体調を崩してしまうのです)も書きましたがご縁があったようで、頂いた日程に合わせて飛行機を予約しました。
インターンの活動内容
お手伝いの内容はその時々で様々だと思いますが、私が居る間にやったことをまとめました。
・麹づくり
基本的な米麹づくりのスケジュールはこんな感じです↓
1日目 夕方材料洗って浸漬
2日目 朝仕込み→蒸し取り→種付け 夕方切り返し
3日目 朝と夕方に手入れ
4日目 朝出麹、乾燥 製麹機の清掃と片付け
(麹の詳しい作り方や製麹用語の意味が知りたい方はこちら→米麹の作り方)
午前中に1回、麹の種類や仕込んでからの時間によって午後に1-2回作業があるかどうか、という感じです。大量のお米を扱うので特に仕込みは肉体労働ですが、製麹機がヒーターやファンで温度の管理をしてくれるので24時間温度計を確認し寝る間もなく手入れをしなければいけない環境ではありません。麹菌の成長を愛でながらスタッフさん方の熟練の手つきが見れたり、出来立ての麹の香りを胸いっぱい吸い込めるのは麹屋さんならではの体験です。

蒸し上がったお米を冷ましているところ。周りが見えないくらいの湯気!

出来上がった黒麹をほぐしているところ。黒麹は胞子が舞うのでマスクをして作業します
・ラベル貼り、袋詰め、発送準備
袋や容器にラベルを貼ったり、 麹の袋詰めをしたり、 発送するための麹を計量したりします。黙々と貼るも良し、和気あいあいとお喋りしながら手を動かすも良し。普段何気なく見ている商品のラベルも自分で貼ってみるとちょっと違う視点から見れる気がします。私はこういう作業を効率良く早くきれいにするにはどうしたら良いかなって考えるのが大好きで楽しかったです。

お喋りしながらラベル貼ってると時間があっという間に過ぎるし気が付いたら完成品が山になってる
・味噌仕込みの会
1月~4月の間行われる味噌仕込みのワークショップはリピーターも多く、毎年すぐ満席になってしまうほど大人気のイベント。
ワークショップのある日は午前中に材料計量や器具のセッティングなどの準備をして、早めのお昼ご飯を食べたら午後は味噌ワークショップ2回(+醤油ワークショップがある日も)とお片付けという流れです。
ワークショップ中はお客様の誘導やスタッフさんの補佐をしたり、一緒に来たお子さんと遊んだり。
事前にウェブサイトを見て最大12kgの味噌を1時間で仕込む旨書いてあったので一体何が起こっているのかと思っていましたが、茹でておいた大豆をミンサーで潰して大きな木桶の中で事前に計量しておいた麹と塩と混ぜ、持参した容器に詰めるという工程で慣れている方は30分で終わらせていました。
みやもと糀店のワークショップでは8kgもしくは12kgのお味噌が仕込めますが、自宅でその分の材料を用意して大量の大豆を茹でて手で潰して…なんてやってたら丸一日掛かっても終わりません。でも糀店で専用の機材を使って仕込めば年に一度の家族/友人/自分との楽しいお出掛けイベントにできます。「ワークショップ=学びの場」の先入観に囚われていた私には目からウロコでした。(もちろん学べることはたくさんあります!)
店主の貴史さんによると約20年間やってきた中でワークショップのやり方はコロナなどの情勢に合わせたりお客さんも自分たちもやりやすいように変化していて、今のところはこのやり方に落ち着いているとのこと。

縁側のある畳の部屋でワークショップ。天気が良い日は特に気持ち良いです

私も自分の分を仕込みました。この写真をイギリスの人に見せると「色々思ってたのと違うけどめっちゃ traditionalでcoolだね!」と言われる
・豆腐屋さんのお掃除
廃業した豆腐屋さんを引き継いで「豆腐みやもと」として開店準備中の場所のお掃除をお手伝いしました。スタッフの方々は多芸多才な方ばかりで、庇のヤスリがけや塗装など自分で出来る範囲で建物の改修作業をしていました。私は豆腐のショーケースや壁を磨きました。元のオーナーさんも時折顔を出してくださってお豆腐の話を聞けました。糀店のインターンでお豆腐の勉強もできるとは嬉しい想定外です。
・醸造蔵見学
スイスで麹製品の製造販売をしているリノさん(ONRI FERMENTS)がみやもと糀店を訪れていて、同じくスイス出身の糀店スタッフミルコさんと醸造蔵の見学に行くのに同行させてもらいました。大変貴重な機会をありがとうございました!
小麦麹100%のしろしょうゆ「しろたまり」をはじめとする各種調味料を作っている会社で、私たちは白醤油とつゆなどの関連商品を作っているところを見学しました。しろたまりは初めて試しましたがいわゆる醤油の味とは違って主張の強すぎない旨味なので洋食でも活躍しそうです。

温度管理された部屋に並ぶ白醤油のタンク
三州三河みりんを作っているみりん蔵さんです。蔵内の見学のみならず、みりんは元々飲み物だという話からみりんの起源など詳しく教えて頂き大変興味深かったです。私も自分用のみりんを作っていますが、このレシピとは入っているもち米と糀の量が桁違いでした。
イギリスで手に入る数少ない本みりんのひとつはここで作られています。

蒸し器からもち米を移しているところ。ここで米と麹と焼酎を混ぜたものをタンクに入れて熟成させる

お昼ご飯はお寿司。愛知のお魚美味しかったー
共同生活について
私が滞在していたときの1日のスケジュールは大体こんな感じです:
7:30 朝ごはん(食べたい人は)
8:45 ラジオ体操、午前の仕事開始
11:30頃 お昼の準備、お昼ご飯
13:00頃 午後の仕事開始
17:00-18:00頃 終業、晩ごはんの準備、晩ごはん
20:00頃 順番にお風呂、飲んだり寝たり自由に過ごす
朝の2項目以外は日によってとにかくフレキシブルで、お昼ご飯にピザを食べに行ったり、夕方早めに終わって名古屋までバスケットボールの試合を観に行ったりと毎日が新鮮であっという間の11日間でした。
3食を誰かとお喋りしながら食べるのは私にとっては久しぶりの体験で、インターンやスタッフが入れ替わり続ける環境の中でお互いのことをたくさん話して知るのはとても刺激になりました。
お手伝いしている間もずっと黙々と作業するというよりは和気あいあいとした感じで、ここは人が中心で出来上がっているコミュニティなんだなぁと。インターンのリピーターが多いのも納得です。

地元民おすすめのお店に飲みに行った日。笑いの絶えない夜でした
個人的に印象に残ったこと
・とにかく人が素敵
上手く言葉で表せませんが、貴史さんを筆頭にスタッフもインターンで来ている人たちもバックグラウンドがあまりに多様で話をしていて面白いし、ありのままの自分でいながら他人を受け入れる力が物凄いと思いました。こういう環境だからメンバーの入れ替わりが頻繁にあっても素敵な人たちが集まってくるのかな。やることは真面目にやるけど人生を仕事に捧げるよりも自分の人生を生きるよ、みたいな絶妙なバランス感のある空気(私が勝手な解釈をしている可能性大)も居心地が良かったです。
特に印象に残っているのはお喋りを通して麹の作り方も今までの人生でも「こうあるべき」と思っていたことが「そうじゃなくてもいい」に変わる場面が何度かあったことです。
例を挙げると:
渡英した理由を聞かれて「仕事が一番の理由だけど、子どもの頃家族でイギリスを訪れたときに現地の人と殆どコミュニケーションを取れなかったことが心残りだった」と説明したら「真面目なんですねぇ」という反応が返ってきて、その発想はなかった!と衝撃を受けました。その方にとっては何気なく言った感想なのかもしれませんが、私はその時初めて勝手にハードルを設定して勝手に後悔していたのは自分だったことに気付かされたのです。
また、成功している味噌蔵さんの話から「理論なく一見適当にやってるように見えるところがめちゃくちゃ美味しいものを作ったりするし、こだわるのはいいけどこだらわないことが悪ではない」ということが話題に上りました。発酵というとこだわりという単語がついて回りがちですが、そうか、美味しければいいじゃん…!とても肩の力が抜けた気持ちになれました。
ここで出会ったご縁をこれからも大事にしていきたいです。

長くなったのであとは箇条書きにします。
・身体を動かして働くの楽しい
・インスタストーリーは気軽に上げるべし
・地元の人との交流・業界内交流って大事
・何事においてもフレキシブルであるって大事
・ケリーさんのおひたし美味しすぎる
思い切って飛び込んで本当に良かったです。
貴史さんケリーさん、スタッフの皆様、インターンの皆様、出会ってくださった方々、ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。

みやもと糀店ウェブサイト:https://miyamotokojiten.com/


